『できなくて ちがって いい』と『わかる と かわる』
藤沢小学校 校長 嘉藤 央(かとう なかば)
先日、8月19日に深谷市PTA連合会、教育研究会共催、令和元年度教育講演会が深谷市文化会館で開催されました。女性詩人の「金子みすゞ」の作品を世の中に紹介した、詩人・作家の矢崎節夫さんによるご講演でした。
5年生の国語の教科書(下巻)には、「みすゞさがしの旅 -みんなちがって、みんないい」という、矢崎さんが「金子みすゞ」という作家の作品を見つけ出し、全集として世に出すまでの経緯をまとめた文章が掲載されています。
「金子みすゞ」は、心が温まる、素敵な詩を書かれた詩人です。講演の中で、代表作であり、「みすゞさがしの旅」の中でも紹介された有名な作品、「わたしと小鳥とすずと」の解釈について、矢崎さんがお話しくださいました。
わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ わたしが両手をひろげても、 お空はちっともとべないが、 とべる小鳥はわたしのように、 地面をはやくは走れない。 わたしがからだをゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴るすずはわたしのように たくさんなうたは知らないよ。 すずと、小鳥と、それからわたし、 みんなちがって、みんないい。 |
この詩は、
「みんなちがって、みんないい。」
という終わりの言葉が有名ですが、矢崎さん自身、最近になってこの詩の中では、「『できないこと』だけを書いていること」に、気づいたそうです。
「とべない」、「はしれない」、「でない」、「知らない」、すずと小鳥とそれからわたしが、みんなちがってみんないい、というみすゞ。
「できないことがあっても、みんなちがって、みんないいんだよ!」と、子供たちに声をかけてあげたいですね。
学校は、できないことができるようになることの楽しさを知るところでもあります。講演の中で、矢崎さんは、「わかる」ことで「かわる」ことが「成長」である、ともお話しくださいました。
学校で、ご家庭で、地域の中で、できないことも認めて、肯定してあげるとともに、わかり、日々かわっていき、成長することの良さを子供たちに伝えたいですね!!
わたしと小鳥とすずと
金子みすゞ
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面をはやくは走れない。
わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんなうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。